(注:このブログはもう更新していません)この日記は私的なものであり所属会社の見解とは無関係です。 GitHub: takahashikzn

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自分の精神をコピーしたら何が起きるのか

こんな増田が話題になってます。

anond.hatelabo.jp

僕も先月に「ディアスポラ」を読み終わったところだったのでちょうどよいネタ。

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

この作品はマジで面白い。序盤はやや難解ですが、傑作だと思います。

  • 一人の「個人」であることを満たす要件とは何か?
  • 誰かが「存在する」とはどういうことなのか?

についての一つの考え方を垣間見ることが出来ました。


もし機械の脳が実現したとして

あなたは不治の病に侵されて余命半年とします。「なぜ俺がこんな目に…」と世界を呪う日々。

そんなある日、聞いたこともないような小難しい名称の研究所から、一人の研究者がやってきました。

「機械の脳を実用化しました。精神をコピーすれば不老不死も可能ですし、コピー先は外見があなたと瓜二つの生体ボディです。ぜひ被験者になって下さい。」

あなたは大喜び。

自分の精神をコピーすれば病を克服!むしろ永遠の命がこの手に!やったー!!

ぜひ俺を被験者にしてくれ、と二つ返事をするわけです。


しかし現実は甘くない

そんなハッピーエンドにはならないわけです。

精神をコピーしたら何が起きると思いますか?


…さて、コピー作業が終わり、麻酔が切れて目覚めたあなたが見たものは2つ。


  • 「相変わらず余命半年のままの哀れな自分」
  • 「他者から見たら完全に自分そのものに見える、自分ではない誰か」


ただそれだけ。


外見、立ち振舞い、記憶が完全に自分と同じなら、他者から見たらそれは実質的に、あなた以外の何者でもありません。

ここにあなたは病気を克服し、永遠の命を得ました。おめでとうございます。

ただし他者から見たら。


あなたはそのコピーを恨むでしょう。

「あいつは俺が過ごすはずだった幸せな日常を取り戻してやがる…本当の俺はここだ!!あいつはニセモノなんだ!!」

という具合に。


さて、ではこのコピーは何者なのでしょうか?


こんな観点の作品、誰か教えてください

ディアスポラはそういう話ではないんですよね―。

色々探してみたのですが、僕のグーグル力では見つけられませんでした。


個人的に近いと思っている作品

SOMA

Steamのホラーゲームです。 ややネタバレですが、物語の終盤で、上記のような葛藤に主人公は直面することになります。

store.steampowered.com

弟者兄者のプレイ動画はこちら。 www.youtube.com

AIの遺伝子

山田胡瓜さんのマンガです。ITmediaの記者から漫画家へ転身したという変わった経歴の持ち主です。

試し読みできる第1話がそんな感じの、自我同一性に関する話です。

追記

この日記を書いた2時間後にふと「機械の脳」でググったら即出てきました。

なんかすいませんでした。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

更に追記

順列都市」を読み始めたのですが正にそんな話でした。

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)